商標登録では、商標そのものだけでなく、「どの商品・役務について使用するのか」を適切に指定することが非常に重要です。商品・役務の指定が不十分であれば、希望する事業を十分に保護できなかったり、拒絶理由通知を受けて補正が必要になったりする可能性があります。
商品・役務の指定方法には、大きく分けて2つの考え方があります。一つは、「類似商品・役務審査基準」に掲載されている標準的な商品・役務を指定し、スムーズな審査を目指す方法です。もう一つは、自社の事業内容に合わせて具体的な商品・役務を記載し、実際のビジネスに即した権利範囲を確保する方法です。
本記事では、商品・役務指定で失敗しないための7つのポイントを、弁理士の実務経験を踏まえてわかりやすく解説します。
1. 商品・役務の指定及び商品・役務区分
1-1 商品・役務の指定
商標登録出願では、名称やロゴなどの商標だけを記載するだけでなく、その商標を「どの商品」または「どのサービス(役務)」に使用するのかを明確に指定する必要があります。この指定された商品や役務を「指定商品・指定役務」と呼び、商標権の効力が及ぶ範囲を決定する非常に重要な要素となります。ある商標について登録できても、指定する商品・役務が違えば別の権利として扱われ、実際に展開するビジネスと関係のない商品・役務を指定していては、意味他社の模倣を防ぐことはできません。
1-2.区分(第1類〜第45類)の仕組み
商品や役務は、国際的なルールに基づき第1類から第45類までの「区分」に分類されています。1〜34類が「商品」、35〜45類が「役務」です。特許庁に納付する出願料、登録料及び更新登録料は、この「区分の数」に応じて加算される仕組みになっています。そのため、コストを抑えつつ必要な範囲を網羅するには、自社の事業がどの区分に該当するのかを正確に把握し、適切に絞り込むスキルが求められます。
2. 商品・役務の指定方法には2通りある
2-1 類似商品・役務審査基準を利用する方法
商品・役務の一般的な指定方法として、特許庁が公表している「類似商品・役務審査基準」に掲載されている標準的な商品や役務の名称を利用する方法です。
この審査基準には、日本国特許庁が審査で使用している商品・役務の名称が多数掲載されており、これらの表現をそのまま用いることで、商品の内容及び範囲が明確であると判断されやすくなります。その結果、記載内容に関する拒絶理由を受ける可能性が低くなり、比較的スムーズな審査が期待できます。
特に、一般的な商品やサービスであれば、審査基準に掲載された表現だけで十分なケースも少なくありません。そのため、早期審査を申出て早期に審査結果を得たい場合やできるだけ手続を円滑に進めたい場合には、有効な指定方法といえます。
この審査基準には、日本国特許庁が審査で使用している商品・役務の名称が多数掲載されており、これらの表現をそのまま用いることで、商品の内容及び範囲が明確であると判断されやすくなります。その結果、記載内容に関する拒絶理由を受ける可能性が低くなり、比較的スムーズな審査が期待できます。
特に、一般的な商品やサービスであれば、審査基準に掲載された表現だけで十分なケースも少なくありません。そのため、早期審査を申出て早期に審査結果を得たい場合やできるだけ手続を円滑に進めたい場合には、有効な指定方法といえます。
2-2 事業内容に即した具体的な商品・役務を指定する方法
もう一つの方法は、自社の事業内容に合わせて具体的な商品・役務を記載する方法です。
前述の審査基準は万能ではありません。特にAIを活用した最先端のITビジネスの場合や、これまでにない革新的な新サービスなどの場合、適した商品名や役務名が最新の審査基準に載っていないことがあります。また、審査基準に記載されている商品名や役務名のみ指定してしまうと、競合他社に対して「権利の隙間」を与えてしまうリスクが生じる可能性があります。そのような場合には、提供するサービスの内容を具体的に記載することで、実際のビジネスに即した商標権を取得しやすくなります。
もっとも、自由に記載すればよいわけではありません。表現が曖昧であったり、商品・役務の内容が明確でなかったりすると、拒絶理由通知を受け、補正が必要になることがあります。
そのため実務では、「類似商品・役務審査基準」に掲載された標準的な商品・役務を基本としつつ、必要に応じて事業内容を具体的に表す商品・役務を追加する方法がよく採られています。このように両者を適切に組み合わせることで、審査の円滑さと実際の事業保護のバランスを図ることが可能になります。
前述の審査基準は万能ではありません。特にAIを活用した最先端のITビジネスの場合や、これまでにない革新的な新サービスなどの場合、適した商品名や役務名が最新の審査基準に載っていないことがあります。また、審査基準に記載されている商品名や役務名のみ指定してしまうと、競合他社に対して「権利の隙間」を与えてしまうリスクが生じる可能性があります。そのような場合には、提供するサービスの内容を具体的に記載することで、実際のビジネスに即した商標権を取得しやすくなります。
もっとも、自由に記載すればよいわけではありません。表現が曖昧であったり、商品・役務の内容が明確でなかったりすると、拒絶理由通知を受け、補正が必要になることがあります。
そのため実務では、「類似商品・役務審査基準」に掲載された標準的な商品・役務を基本としつつ、必要に応じて事業内容を具体的に表す商品・役務を追加する方法がよく採られています。このように両者を適切に組み合わせることで、審査の円滑さと実際の事業保護のバランスを図ることが可能になります。
3.失敗を防ぐ!指定時に押さえるべき7つのポイント
3-1.将来の事業展開を見据えた選び方
ポイントの1つ目は「現在」だけでなく「近い未来」の事業までカバーすること。現在の事業だけ指定してしまうと、1〜2年後に新事業を始めた際に、再度出願し直し、その分費用もかかる羽目になります。
2つ目は「競合他社の参入障壁」を意識した区分選び。
事業内容に合わせて商品や役務を指定する場合でも、標準的な商品や役務も併せて指定しておくことで、競合他社の参入を牽制することが可能となるケースがあります。
3つ目は「広すぎる指定」による他人の商標権侵害リスクや不使用取消審判請求を受けるリスクの回避。
4つ目は「出願コストと権利範囲のバランス」です。
事業化の予定が全くない分野まで指定することは、不使用取消審判のリスクだけでなく、他人の商標権を侵害するリスクを高めることにもなりかねません。また不要な区分を追加することで出願費用や登録料が増える原因にもなります。
2つ目は「競合他社の参入障壁」を意識した区分選び。
事業内容に合わせて商品や役務を指定する場合でも、標準的な商品や役務も併せて指定しておくことで、競合他社の参入を牽制することが可能となるケースがあります。
3つ目は「広すぎる指定」による他人の商標権侵害リスクや不使用取消審判請求を受けるリスクの回避。
4つ目は「出願コストと権利範囲のバランス」です。
事業化の予定が全くない分野まで指定することは、不使用取消審判のリスクだけでなく、他人の商標権を侵害するリスクを高めることにもなりかねません。また不要な区分を追加することで出願費用や登録料が増える原因にもなります。
3-2.その他の実務上のポイント
残り3つのポイントは、実務上必要となります。
5つ目は「商標法改正や特許庁の運用変更」のチェック。これらをチェックしておかないと、拒絶されるなど思わぬ不利益を被る危険性があるためです。
6つ目は特許庁が公表している「類似群コード」を確認すること。「類似群コード」は、商品及び役務のそれぞれにふられており、一見異なる区分であっても類似関係にある商品や役務が存在するため、そのリスクを排除する必要があるためです。この類似群コードは前記した「類似商品・役務審査基準」などで確認できます。
そして7つ目は「他人の先行商標とのバッティング調査」の徹底です。
他社の商標権を侵害するリスクをなくすため、事前の綿密な調査が不可欠です。
5つ目は「商標法改正や特許庁の運用変更」のチェック。これらをチェックしておかないと、拒絶されるなど思わぬ不利益を被る危険性があるためです。
6つ目は特許庁が公表している「類似群コード」を確認すること。「類似群コード」は、商品及び役務のそれぞれにふられており、一見異なる区分であっても類似関係にある商品や役務が存在するため、そのリスクを排除する必要があるためです。この類似群コードは前記した「類似商品・役務審査基準」などで確認できます。
そして7つ目は「他人の先行商標とのバッティング調査」の徹底です。
他社の商標権を侵害するリスクをなくすため、事前の綿密な調査が不可欠です。
4.迷ったらどうする?専門家への相談のススメ
4-1.弁理士に依頼するメリット
「審査基準通りの安全策」と「ビジネスに即した具体的指定」のどちらを選ぶべきか、もしくはこれらを組み合わせるべきか、又は7つのポイントをどう自社に落とし込むべきか、判断に迷うことは少なくありません。商標のプロである弁理士に依頼すれば、貴社のビジネスモデルを深く理解した上で、将来の成長まで見据えた最適な「区分と商品・役務の組み合わせ」をオーダーメイドで提案してくれます。
4-2.自力出願とプロへの依頼の比較
自力で出願すれば一見安上がりですが、拒絶理由通知への対応に追われて時間を浪費したり、間違った指定のまま登録されて役に立たない権利になったりするリスクがあります。一方、弁理士費用はかかりますが、確実性と将来の安心感を買うことができます。商標は一度登録すると長年使う会社の資産です。取り返しのつかない失敗を防ぐためにも、まずは専門家へ相談することをおすすめします。
5.まとめ
商標登録において、商品・役務の指定は権利範囲を決定する極めて重要な要素です。指定内容によってブランドを十分に守れるかどうかが左右されるため、単に区分を選ぶだけではなく、自社の事業内容や将来の展開を踏まえた慎重な検討が必要です。
商品・役務の指定方法には、大きく分けて2つの考え方があります。一つは、「類似商品・役務審査基準」に掲載されている標準的な商品・役務を指定し、審査を円滑に進める方法です。もう一つは、自社の事業内容に合わせて具体的な商品・役務を指定し、実際のビジネスに即した権利範囲を確保する方法です。
実務では、どちらか一方を選ぶのではなく、標準的な商品・役務を基本としながら、必要に応じて事業内容に即した具体的な商品・役務を組み合わせることが有効です。当所もこの考え方を採っています。
商品・役務の指定で迷った場合は、安易に自己判断するのではなく、弁理士へ相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、自社のブランドを長期的に守るための最適な商標戦略を構築できるでしょう。
商品・役務の指定方法には、大きく分けて2つの考え方があります。一つは、「類似商品・役務審査基準」に掲載されている標準的な商品・役務を指定し、審査を円滑に進める方法です。もう一つは、自社の事業内容に合わせて具体的な商品・役務を指定し、実際のビジネスに即した権利範囲を確保する方法です。
実務では、どちらか一方を選ぶのではなく、標準的な商品・役務を基本としながら、必要に応じて事業内容に即した具体的な商品・役務を組み合わせることが有効です。当所もこの考え方を採っています。
商品・役務の指定で迷った場合は、安易に自己判断するのではなく、弁理士へ相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、自社のブランドを長期的に守るための最適な商標戦略を構築できるでしょう。